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永久の旅路。 [子ども・家族のこと。]

 昨日、父が永眠についた。
 享年82歳。

 最期はあっという間の旅立ちだった。
 4日前、部屋で倒れ救急車で搬送。点滴の甲斐あって一時は会話も
できるようになっていたが、日曜日から再び昏睡状態になって昨日、
眠るように旅立った。

 ずっと父の横に座って顔を見つめていた。
 だんだん弱くなるモニターの数値。命の炎がもうそう残っていない
ことが昼過ぎから見てとれた。
 
 行きつ戻りつしながら数値は少しずつ低下し、とうとうリズムが直
線に。
 延命措置はしないでください、と病院側にもお願いしてあったので
最後の最後まで先生方も家族だけにして下さり、ナースステーション
でモニターの状況を共有してくださっていたらしく、モニタの数値が
0になってから先生が来て下さり、対光反応を見た上で「午後7:54
ご臨終です」と告げられた。

 やっぱり泣けた。
 自分勝手で変わった父だったけれど、最期はせめてみんなに「いい
ところを見せてやろう」と思ったのか、あっという間に…。
 なぜだか分からないのに涙が溢れて止まらなかった。
 横を見たら子どもたちも、私の兄も泣いていた。

 「とうさん、さよなら」

 母の言った言葉…。さらに涙が溢れた。

 父の最期は本当に本当に穏やかで安らかだった。日曜日から昏睡だっ
たので、そのまま眠るように…。
 家族みんなに囲まれて。
 父は幸せだったと思う。

 看護婦さんに体をきれいにしてもらった後に対面したら、父の顔は
確かに穏やかに微笑んでいるように見えた。今まで見たこともないよ
うな幸せそうな顔だった。
「オヤジ、きっとみんな集まってくれてうれしかったんだろうな」と
兄がつぶやく。そうだねきっと。

 本人の希望で葬儀はしない。
 家族だけで17日に父を送る。
 永久の旅路に父を送る。

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