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口唇口蓋裂・修正手術の記録<8/29退院日> [口唇口蓋裂のこと。]



 <注:8月22日から一週間の手術入院の模様を記録しています。
 口唇口蓋裂関連記事になりますので、興味のない方は読み飛ばして下さい>

 ●術後6日目<8/29退院日>

 この日はいつもよりも少し早く午前中のうち家を出る。
 途中、バスの中から「抜糸済んだ?」とメールを送ってみると即座に返信が来て「済んだ」
とあったので、もう一度「どう?自分では?思ったように修正されてる?」と返すと、「結構
いいよ。まあまあ」といういいんだか悪いんだか理解に苦しむ返事(笑)。いや、でも彼の
場合、「まあまあ」というのは彼にとっての照れ隠しの褒め文句だ、ということを思い出して
「まあまあが一番だよ」とこちらもよくわからん意味の返事をした。




 ▲13:00 病院到着
 病室へ足を踏み入れ、このカーテンを開けるのも今日が最後だな…と思いながら中を覗くと
目の前に一生懸命まとめたであろう大きな荷物がいくつか目に入って来た。
 いつものようにオッサンはベッドを少し起こした状態でiPhoneを見ている。
 
 「お!」
 「全部取れたじゃん!」←ガーゼとかプロテクターとか。
 「きれいな傷跡じゃん!すごいすごい!」

 矢継ぎ早にこんな言葉が口をついて出た。

 オッサンは表情一つ変えずに「うん、まあね」だって。
 もっと喜べ〜!人生に喜怒哀楽がなくてどうする〜!(笑)

 見ている側も「うっとうしいだろうなぁ」と思うガーゼや鼻の詰め物が取れて本当に良かった。
 鼻も人が見て分かる、という大げさな修正ではなくあくまで生来の顔になじむような修正で
あるので本当にバランスが良い。きっと彼にこの疾患がなくて生まれてくれていたらこんな鼻だっ
ただろう、と思うような絶妙のバランス。執刀して下さったO先生の腕はゴッドハンドだ。
 唇の方も赤唇部分がとても美しくなった。

 抜糸は少し痛みがあったという。唇の方はまだ神経があまり感じないそうで糸を抜くときも
殆ど痛みがなかったそうだけど、抜糸部分が上にいくほど痛みを伴ったとのこと。
 数日間、苦しめられた鼻のガーゼも引き抜いてもらったが、なんと長さ30cmほどもあったと
言う。「あんな長いのが入ってたなんて驚いたよ!」とさすがのオッサンも驚いていた。

 見ている方だって、「ああぁ〜さっぱりした〜」というのが正直な感想だ。

 ▲13:30 入院棟2Fの売店にて退院後、術創に貼る住友3M社の治療用テープを購入。
(これは毎回術後に貼っているお馴染みのテープで、傷跡を保護し目立たなくさせる効能を持っ
たテープだそうです)しばらくはこのテープを鼻の下の術跡に貼ることになります。
 
 ▲14:00 カズさん到着。
 会社を半休にして私達を迎えに来てくれたカズさん。帰りは荷物が多いので本当に助かる!
 オッサンの顔を見るなり「おぉ!きれいになったでねーの!」(笑)
 照れくささも手伝っていつもこんな言い方をするカズさん。
 でもめちゃくちゃ嬉しそう。

 カズさんも来てくれたし、後は教授回診を待って退院するのみとなった。

 ▲15:00 事務員さんが来て下さって、会計票をお預かりする。
 育成医療申請・自治体のマル子保険証があったため、食費をのぞく他の医療費については全額
補助を受けることができた。従って発生したのは「食事療養費」と「病衣レンタル料」のみ。
 口蓋裂では先述したようにどうしても何度かのオペが必要となる側面からも、色々な支援や補
助を受けることができ、本当にありがたいと思う。

 ▲15:15 教授回診
 Y先生の教授回診(そういや以前は週に2回あった教授回診が今は簡略化されたのか1回になっ
てしまった)。Y先生を筆頭に毎回ながら沢山の先生がゾロゾロとやってくる。
 オッサンのすぐ横まで様子を見に入って下さって、「順調だね」とニコニコしながら優しい瞳
で仰ってくださったのがとても印象的だった。
 よくありがちな「白い巨塔」のような冷たい教授回診ではなく、昭和医大の回診は結構ほのぼ
のとしているのでこういうところもとても好感が持てる。

 回診直後、O先生と共にオペを補佐して下さったT先生が覗きに来て下さって「何か心配ごとっ
てありますか?」と仰るので、オッサンが一番心配していた唇の腫れのことを尋ねた。
 「唇ですが、もう少し腫れって引いてくるものでしょうか?」
 「引いてきます、引いてきます!数日するとかなり小さくなるから心配いらないよ」
 とのこと。

 オッサン曰く「ピッピ(漫画に出てくるヒヨコのクチバシ 笑)みたいな口、どうなるの?」
と心配でたまらなかったようなのでこの言葉に親子共ホッとする。
 T先生にも心から御礼を申し上げた。

 その直後、今後は言語科の先生が来訪。
 優しい女性の先生方なのだが、懐かしい〜。お目にかかるのは何年ぶりだろう。
「キョウスケくん、言語の方で何か問題とかないですか?」
「はい、特に気になることはないです」
 言語は2008年に受けた診察が今のところ最後になっていて、必要であれば治療が続いたのだ
ろうが、オッサンの場合は幸いなことに言語治療が必要なような症状はなかったのでいったん
お休みに入っていて、2008年時点で「次は15歳で検診を」ということになっている(そういや
もう今年の11月で15歳なんだな…)。

 しかしながら、今回の入院では執刀して下さった担当のO先生に一度もお目にかかることがで
きず、本当に残念に思う。御礼の一つも申し上げられずに帰るなんて思いもしなかった。
 9月の終わりに術後検診があるのでその時にご挨拶させていただくことにしよう。

 ▲15:30 退院手続き
 「お世話になりました。退院します」とナースステーションへ立ち寄ると看護師さんが慌てた
様子で「ベッド周りのチェックしないといけないですねっ!」とのこと。以前は確かそういうの
なかったように思うけどこれって私が忘れているだけか?
 ともかく再度病室へ引き返してベッドやロッカーの中を確かめてもらい忘れ物がないことを確
認して廊下へ。
 看護師さん、再度「退院指導まだだったですよね?」
 退院指導…前回までは退院前日に看護師さんから退院後の生活注意点などをお話してもらうの
だが、今回は忘れてしまっていたのだろう。うーん、どうも今回こういうのが多い。
 「固い物はしばらく食べられません」などと諸々の注意を受けた後、エレベーターまで見送っ
ていただいて病棟を後にした。


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<無事に全日程を終えて>

 この日記を全て書き終わった今日、9月9日。
 本人が気にしていた唇の腫れもだいぶ引いてとても自然な口元になってきました。
 オッサンは両側性口唇裂だったため、出生時、亀裂が2本ありましたが、今回その2本の亀裂の
幅を狭めてもらったことから、あたかも「人中線」(通常、誰でも鼻の下に線とくぼみがありま
すよね、あれが「人中線」です)のような感じになり、O先生がきっとそう見えるように修正を
して下さったのだろう、と頭の下がる思いでいます。

 いつも手術直後はかなり本人からすると心配なのだそうですが、先生はちゃんと腫れが引いた
後のことを計算に入れてオペして下さっているので、今回も全て大きな信頼の下、お願いすること
ができました。

 本人も修正をした後、周囲がどんな反応になるのかも心配をしたと思います。
 特に学校。
 
 私も心配しましたが、特に学校へ行って誰かにそれを揶揄されたとか、言われた、とか言うこ
とは今のところないようです。
 でも、もしかしたら多少は誰かに何かを言われて、でも私に言いたくなくて黙っている可能性
もあるかもしれないけれど。
 ただオッサンの様子を見ていて、学校から帰宅後肩を落としているようなこともないし、何か
を黙っているような様子もないので、それほど心配はしていません。

 鼻も唇も一目見て「えっ!」と思うようなオペの仕方はO先生は決してなさらないので、そこ
は本当に信頼のおける素晴らしい名医先生です。

 傷の赤みはまだ若干あります。腫れも少しあります。
 ただ、これも数ヶ月のうちにだんだん薄くなっていくものなので心配はありません。
 
 何より本人がかなりつらかっただろう修正を受け、結果が満足の得られるものであったことが
私にとっても嬉しく思えます。
 「鼻の修正はちょっとつらかったけど、俺、結構達成感あるわ!」とイノセントな笑顔でした。
 
 また今月末に術後検診があるのでその模様もこのブログで記録したいと思っています。
 手術のせいで少しお休みしていた矯正もまた継続していきます。

 長い記録になりましたが、最後まで読んで下さってありがとうございました。


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【退院したその日の夜に撮影】
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コメント 4

九子

良いお医者さまに出会われてお幸せでしたね。( ^-^)
息子さん、イケメンにますます拍車がかかるわね。
うちの三男は顔面麻痺の手術をしましたが、結局親にとってはもうちょっとなんとかならなかったのかなあという思いは残ります。
でも本人は全然気にして無いのでまあいいのかなあ?
by 九子 (2011-09-24 17:59) 

earlgrey

★九子さま
 こんにちは!ご返信が大変遅くなりまして申し訳ございません。
 いつもコメントをいただいてありがとうございます。
 息子の担当医は本当に素晴らしい先生で、これに対しては感謝の
思いでいっぱいでいます。今回の手術も安心してお任せすることが
できました(*゚‐゚)。
 九子さんのご子息もお顔の手術をされているのですね…!
 顔は文字通り目に見える場所ですから親からすると本当に色々な
思いがおありになることはよく分かるつもりです。
 でもご本人が前向きで気になさっていないことがご両親にとって
も嬉しいところですね…!
 ああ、うちもこれが最後のオペであってほしいです〜。
by earlgrey (2011-09-27 12:03) 

ゆう

口唇裂の修正で
検索してて
このブログをみました

私も口唇裂です

同じ年ぐらいなのですが
めちゃかっこよくて
ビックリです


うらやましいな。。。

来年から大学生なので
思いきって手術してみようと
決心がつきました

by ゆう (2012-08-18 21:03) 

earlgrey

★ゆうさん
はじめまして。先日、メッセージをいただいていたのに、気付くのが
遅れて申し訳ありません(^^ゞ。
 口唇裂検索でこちらに遊びにいらしてくださってありがとうござい
ます。息子は今年16歳になりますが、こうして同じ疾患を持つご本人
やご家族に見ていただけると私自身とても励みになります。

 ゆうさんは来年大学生になられるとのこと…もう殆どの治療は終わ
られていらっしゃるのでしょうか。息子もほぼ形成学的な治療は終了
に近づきましたが、今は矯正の方が大変で上も下も歯列矯正ワイヤー
が入っています。

 ゆうさんに「かっこいい」と言ってもらえて本人もえらく嬉しいこ
とでしょう(#^_^#)。

 手術は確かにご本人が一番大変なのですが、それでもやはり苦労する
だけのことはあって、必ず成果が得られると思います(うちもそうだっ
たので)。決心がついた、とのこと、その少しでもきっかけになったと
したらこんなに嬉しいことはありません。
 これからもまた治療日記をぼちぼち書いていきたいと思いますので、
思い出したらたまにのぞいてみてくださいね。
 
 ご返信が遅れてしまいましたこと、重ねてお詫びいたします。
 ゆうさん、これからもよろしくお願いいたします。

by earlgrey (2012-08-25 18:01) 

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