決断の水曜日。 [口唇口蓋裂のこと。]
※診察後立ち寄ったレストランでの腹ぺこオッサン。
昨日、今日と学校が入試日のため休業だったので、かねてからオッサンの希望であった昭和大学病院へ行ってきた。
彼の強い希望で「修正手術」の相談を担当の先生と話したかったから。
予約外だからどんだけ待たされるか?!(これ大病院の常、ね)と覚悟して行ったものの、電光掲示板をみると思いがけずそんなにせずに診察室に入れそう。
そんでも10:45に受付エントリーをすませて名前を呼ばれたのが12時半頃だったから結構かかったっちゃ、かかったのか。
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口唇口蓋裂で生まれてきたオッサンは、今までに4回の手術を受けてきた。
一昨年も唇の修正術を受けたのだが、今回どうしても鼻の修正を受けたい、という本人の強い意志があって担当医師の曜日である今日、相談することにしたのだ。
以前、鼻の修正については担当の先生から「高校生になってからでいいと思う」と言われていたのだが京佑本人は「どうしても今年やりたい」と言う。口唇口蓋裂はどうしても顔に現れる疾患でもあり、来年から高校生になることを考えると、一番お洒落をしたい年頃、また逆に一番自分に自信がなくなる年頃である(思春期特有の自己コンプレックス)ことも鑑みて、少しでも彼自身の心の中にあるコンプレックスを取り除いてやりたい、という私たち両親の思いもあって、この日は何とか先生に頼み込んでみようと思っていた。
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以下先生とのやりとり。
★先生「おっ、栗原くん!その後どう?じゃあまず口の中見せてくれる?」
(先生、歯医者で使うミラーを使って口の中を丹念に点検)
★先生「歯列の矯正はどう?少し前歯の横に隙間があるけど、これは矯正科の方で今後差し歯にするとか、手術が必要とか、具体的にどうするという風に言われてる?」
☆オッサン「はい…えーと、あまりそのへんの話はまだ…してません」
☆私「すみません、今度私も一緒に矯正科でよく話を聞いてきます」
★先生「それで今困っていることはある?」
☆私「先生、以前15才以上でとは言われていましたが、鼻の修正を何とか御願いでできないかと思ってご相談に上がりました」
★先生「あ、鼻の修正か。そうだね、今14才か…。うーん、14才と15才の違いでオペの出来にはさほど差はないんだよね…」
☆私「あのう、できましたら今年御願いできませんでしょうか?」
★先生「今年!…今年やる?うーん、栗原くん大丈夫?」
☆オッサン「はい」
★先生「今年だと…うーむ、8月の後半が一番早いオペ予約になっちゃうなぁ。8/23。どう?」
☆オッサンと私「はい、大丈夫です!」
★先生「どんなイメージにしたいの?」
☆オッサン「うーん………」
☆私「少しスマートにしてほしいと常々私に希望を言っていたんですけども…」(オッサンがあまりに無言なので、助け船のつもりで助言)
★先生「なるほどね。横幅を小さくして高さを出す、というイメージかしら?」
☆オッサン「はい、そうです」
★先生「栗原くんの鼻、僕から見ると高さもあるしかっこいいんだけどなぁ…」
☆オッサン「…はぁ」
※オッサンは非常にシャイな男子なので(といやぁ聞こえがいいが)、外ではものすっごーく寡黙になってしまう。困ったもんである。
その後オペについて様々な説明を先生がしてくださり、リスクなどもきちんと私なりに把握できた。
●人工骨では後々何らかの支障がでてきやすいので、基本的には自分の軟骨を使って修正を行う。
●鼻の脇を切開するけれど、傷跡はほとんど残さない術式とのこと。
●術後は鼻穴に止血のためガーゼを入れるのでそれがちょっと辛いかも知れない(リスク)。
●術前検診(採血・心電図等だったかなぁ)は8/10に行う。
●「不安なことがあれば術前検診の日は丁度僕もいるので帰りにでも診察室の方へ寄って」とのありがたい言葉をいただく。
その後、いつもの通り手術同意書にサインをし、育成医療申請の書類や「入院のしおり」という小冊子をいただき(もうこれうちに何冊もたまってんだよなぁ(^^ゞ)先生に深々と挨拶をし診察室を後にした。
目から鱗?!の先生の話。
「日本人はだんご鼻が多いんだ。鼻の肉が厚いんだよ」
とのこと。
鼻の肉が厚い…厚い…厚いのか…。なるほどね。
アタクシもご多分に漏れず団子鼻風味なので「肉が厚い」んでしょうなぁ(涙)。
オッサン、ごめんよ。アタクシの遺伝もあるのかもしれぬ。
むむーーーーっ。
閑話休題。
その後は会計を済ませ、入院部屋希望の予約を入れた後、オッサンの一番楽しみにしている病院タワーの最上階にある帝国ホテル直営レストランへ。17階に位置しているので眺望絶好で昭和大学に来るとは必ず利用する癒しのスポットなのだ。
※品川の街はもちろん、千葉や東京湾、羽田空港、晴れた日には富士山の山塊まで見渡せる超絶景レストラン。
いやぁ、お腹減ったお腹減った!待ち時間が長いのでいっつもお腹ペコペコになっちゃうんだよねー。
アタクシは「和風御膳」(上記画像)を、オッサンは海老フライカレー(撮影し忘れた…)を注文。
それはそれは美味であった。二人で物も言わず喰う喰う(笑)。
昼間から贅沢をしてしまった…。
ごちそうさまでした。
帰り道、手術のことがやっぱり心配だったり緊張しているんじゃないかと気持ちを聞いてみると。
「うーん。手術の方はだいたい様子も分かってるし今のところ緊張もないけど、なにせさー全身麻酔の日はメシが食えないじゃない。腹減って夜眠れないんだよね…。マジ、それがつらい」
オッサンの頭の中は最早「メシ」のことでいっぱいなのである。
そのとんちんかんさに於いてはさすが、アタクシの息子なのであった。
さあ!8月のオペに向けて親子で頑張ろう。
また一歩前進できることを信じつつ。
手術〜退院までまたリポートしていくつもりです。
今回は入院日数どのぐらいになるだろう…。
※このブログを「口唇口蓋裂」で検索してご覧になっているゲストの方も多数いらっしゃると思います。
特にまだ小さい赤ちゃんを育ててらっしゃるお母さんたちにとってはこれからのオペや治療のことを考えると不安が大きいのではないでしょうか。15年前、私も病院の待合ベンチに座りまだ赤ん坊だった京佑を抱きしめ張り裂けそうな不安と途方に暮れていたことを今でもはっきりと覚えています。
でも大丈夫!道のりは遙か遠くに思えますが、私自身あっという間にここまできました。息子も大人になるにつれ自分で自分の道を切り拓いています。
今日も昭和医大の形成外科外来フロアには同じ疾患を持つ赤ちゃんや子ども達がたくさんいました。よちよち歩きの男の子を見てふと京佑もあんな風に病棟を歩いていたことを思うと本当に感慨深い思いがあります。まるで昨日のことのように鮮やかに思い出されます。
そんな京佑も今年はもう15才です。
2011-02-02 17:18
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