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人生、「今が全て」じゃない。 [子ども・家族のこと。]

 「ぼくね、髪の毛伸ばして顔全部隠すんだ」
 これは小学校4年生当時、ゴマジさんが発した言葉である。

 この時、彼は当時在籍したクラスでいじめに遭っていた。
 鼻の下の傷のことをしつこく揶揄されたり、「顔がキモイ」などと言われ
ていたのである。

 私とカズさんは深く苦しんだ。
 口唇口蓋裂を持って生まれてきた息子。
 思えば1年生の頃から「鼻の下どうしたの?」という言葉を数え切れない
ほど浴びせられてきたのだろう。

 ゴマジさんは「学校に行きたくない」と言い、私もその切実な思いを正面
から受け止め、実に3ヶ月もの間学校を休んだ。否、休ませた。
 信じられない現実だが、その間担任からは一度きり手紙が来ただけで一切
連絡をしてこなかった。

 私たちは何としてもゴマジさんを救いたかった。
 だから、「学校へ行かんでも何も恥ずかしいことはない。堂々としていな
さい。学校なんか行かなくたっていろいろな人生があるんだから。何だって
できるんだから」と話した。

 彼はそれでもほんの少し「学校に行かれない罪悪感」を持っていただろう、
しばらくしてから、朝「ぼく、毎日この辺の街を掃除してくる」といい、ゴ
ミ袋を持って毎日自宅近辺を掃除し続けた。綺麗な花壇に投げ込まれた缶や
ら吸い殻、持参したゴミ袋に根気よく集め続けた。

 そして私たち両親も悩んだ末、学校を転校させることにしたのだった。
 それが4年生終わりの早春の頃。

 新しい学校では何もかもが違った。
 京佑を理解してくれる先生方に出会うことができ、最大限京佑の思いを大
事にしてくださった。そして、学校を信じられるようになった彼は次々と友
達をつくり、自信を取り戻して行った。

 そして。今。

 「学校、超楽しい〜!」
 「すげーいい仲間ばっかりなんだよ」
 「優しいヤツばっかりなんだ」

 今の状況をそう紹介してくれた。
 なんと、女友達もできてメルアドも交換したらしい。

 以前、一番辛かった時期には彼の口癖は、
 「明日、休んでいい?」
 だった。
 そんな彼がこれほどに変化するとは。

 今、彼の学校までの道のりは片道が約2時間。
 体力的にはかなりきついと思うが、弱音一つ言わず毎日早朝に家を出発
するゴマジさん。

 人はどんどん変われるんだ、と心からそう思う。
 自信を持ちさえすればどんな険しい道も、目の前にそびえる山さえ歩を
進めることができる。
 誰と出会うかで万華鏡のように変化してゆく人生。
 沢山の仲間と関わって懐のでっかい男になってほしい。
 中には辛辣な意見を言う人も、批判をする人もいるだろう。
 だけど、きっと京佑自身が「自信」を持って歩んでいたなら、それらも
全て自分を支える礎となるに違いない。

 今朝も以前だったら信じられないほど、考えられないほどのニッコニコ
笑顔で玄関を飛び出して行った。
 一度出て行ったら最後、放課後友達と遊ぶのが楽しくてなかなか帰らな
い。たまに私に雷を落とされる(笑)。

 紆余曲折あったけれど、いつも思う。
 「人生、今が全てじゃないんだ」って。
 
 顔のことでさんざん苦労して切ない思いをしてきた彼には、これからの
前途がどうか明るい未来であるようにと祈らずにはいられない。
 
 さっき、夕食をすませたゴマジさんが一言。
 「おれ、今めっちゃ楽しい!友達がすげえ楽しいんだよね」
 「明日の音楽祭めっちゃ楽しみぃ!」
 ※明日はゴマジスクールの合唱音楽祭なのである。

 経済的にはとっても厳しい私学への入学ではあったけれど(うちは到底
私学に見合わない薄給家庭だから)、あんたの笑顔が見られるんだったら
私もカズさんも一生懸命働いて、その笑顔が続くように応援していくつも
りだよ。

 ゴマジさんやプッコさんの笑顔は最高の宝物だから…。

 なんかとりとめがなくなったけど、幸せそうに夕食を食べるゴマジさん
の横顔を見ていたら、こんな風に思ったよ。
 
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