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モヌラ。 [子ども・家族のこと。]


kaiko.jpg

 これ、何だか分かるでしょうか?
 あ、分かるか。
 蚕の繭なんです。
 白い繭が♂、黄色い繭が♀。
 つい先日、できた繭です。




 私は蚕が可愛くて可愛くて大好きなのですが、今年はプッコさんが夏休みの自由課題を
蚕の観察にしたい、というので会津若松から蚕の幼虫を送ってもらって(ウェブ上にいつも
お世話になっている蚕の全国発送をしている里があります)育てました。

 実は…
 夏休みの課題なんだから、今頃なぜ?と思うかも知れません。

 本来は8月に全ての観察を終わらせていなければいけないところでした。
 
 蚕を飼うのはもう5回目ぐらいだけれど、今のところに越してきてからは初めてのことです。
 この蚕たち、会津若松から送られてきた時には「人工飼料」が一緒に付いてきます。
 桑の葉を取れない地域に住む人などはこの人工飼料を使って飼育していくのですが、幸いな
ことに以前住んでいた場所は周囲に桑の木がすぐに見つけられる環境だったので人工飼料では
なく桑の葉で育てました。一方、蚕も人工飼料のみの環境下では人工飼料に飛びつくのですが、
桑の葉を与えるようになると、人工飼料は食べなくなります。
 だから今回も桑の葉で育てようと思ったのです。

 今の居住地も周囲を自然に囲まれ、桑の木が以前住んでいた地よりも多いぐらいでした。
 
 8月最初に届いた蚕たち。
 毎日せっせと桑の葉を採りにでかけ、新鮮な葉をたくさん入れてやりました。
 ところが、思ったように成長しないのです。
 それどころか、5日ぐらい経つと次から次へと蚕が弱り、死んでしまう。

 この時点で気付くべきでした。

 結局この8月最初の蚕たち、22頭は1頭をのぞいてほぼ全滅しました。

 桑の葉に「農薬」がついていたのでした。
 
 可哀想なことをしてしまった、と本当に申し訳ない気持ちでたまらなかった。
 人工飼料よりも自然の桑の葉を何とか食べさせてやりたい、と思ってしまった浅はかさに今と
なれば情けなく思うばかりです。

 この辺の地域では年に数回、農薬の散布があるようで「害虫駆除」という名目の下、地域一帯の
樹木に全てこの農薬を撒いているようです。

 早く気付けば良かったのに、「桑の葉が足りないのかな」などと考えて余計に沢山葉を摘んで
きてやってしまう、という愚かなことをしでかしてしまいました。

 蚕さんたち、本当にごめんね。
 そんな気持ちでいっぱいです。

 あまり良いことではないと思いながらも、学校には「提出が少し遅れることをお許し下さい」と
事前に事情を説明してもう一度、会津若松から蚕さんを送っていただきました。
 自由研究は「蚕」と決めていたプッコさんにも、その時点で「今更他の課題にしようね」などとは
言えないし、第一、他に研究のアイディアも浮かばず。

 8月下旬、もう一度元気な元気な蚕さんたちが22頭、我が家にやってきました。

kaiko_2.jpg
【蚕はとてもおとなしい昆虫です。ゆっくり歩き、噛んだりすることもありません】

 今回はいつも付属してくる「人工飼料」100%で育てました。
 蚕は繭をつくるまでの期間は大食漢なので、日々、目で見ていたら大きくなるのが分かるんじゃ
ないの、と思うほど大きくなってくれて、丸一週間を過ぎた頃、(前回の失敗があったから)全ての
蚕さんたちが繭をつくってくれた時には心から安堵し、ホッとしました。

 蚕さんたちが繭をつくる行程は感動に次ぐ感動です。
 頭を大きく持ち上げて8の字を描き、糸を吐き出し始めたかと思うと、あっという間に美しい繭を
つくり上げるのですよ。最初に自分で良い場所を見つけて足場をつくり、その足場を使って繭を紡い
でいきます。作る過程で自らの頭を使って様々な場所を押してチェックし、強度の弱い箇所は補強を
します。生命の神秘…!、それを感ぜずにはいられません。

 但し、この糸を吐ききれない蚕さんも中にはいて、糸を吐ききれないということは即ち「死」と
いうことになってしまうのですが、今回も一番最初に繭を作り出した蚕さん、途中しばらく休んで
いるなぁと思っていたら、その先何らかの異常があったのか、糸を吐き出せなくなり、繭は中が透
けるほど薄いまま。その後どうなるだろう、と心配していましたがやはり結果はダメでした。

 こんな繭がこの他にも1頭ありましたが、22頭中、20頭は無事に繭も完成し、それから10日間
ほどして一昨日あたりから、次々と蚕蛾さんたちがサナギから脱皮し、その皮を繭の中に残して
外へ出てきています。
 その蚕蛾さんたちが出た後の繭が今日の記事1枚目の写真です。
 
 養蚕農家などでは、この蚕たちが繭になった時点で煮て糸を取るわけですが、私にはどうしても
それはできそうにありません…。
 
 ところで、蚕蛾さん。
 虫がお嫌いな方も沢山いらっしゃることと思って敢えて画像は掲載しませんでしたが、「蛾」と
いう名前はついているものの、白くてとても可愛い成虫さんです。
 私自身、やはり一般にいうところの「蛾」は苦手な方ですが、この蚕蛾さんだけは別。

 目が大きくて、まるでマンガに書いたような可愛い顔なのですよ。

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 ※ちなみにオッサンも「蛾」が大の苦手です。どれぐらい苦手かというと、曰く「俺は蛾だったら、
ムカデの方が全然マシだ」と言うぐらいだめなのです。蛾と遭遇すると「きゃーーーーー!!!」と叫び
ながら100mを5秒ぐらいの勢いで逃げていきます(笑)だけど、その彼も「蚕蛾は別♡」と言って
手に乗せて愛おしそうに眺めます。
 一方プッコさんは幼い頃から「生き物」大好き少女なので、本当によく面倒をみてくれます。
 同じ親から生まれたのにねぇ…。
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 蚕蛾になってからはもう食事を摂ることもなく(口は退化してしまっているそうです)子孫を残す
ことだけに1週間あまりの最後の命を費やします。
 
 この昆虫は昆虫界で唯一、「人間の手によって改良が重ねられ、人間の手がなければ生きて行かれ
れない昆虫」なのです。「家畜」に分類される昆虫ですから、糸をとるだけの目的で生かされる虫と
いうことになるでしょう。
 人間の手によって改良された、ということは「野生として生きる道」をなくした訳で、蚕を外に出
したとしたら数分しないうちに外敵に攻撃されてしまうでしょう。自らを守る手段を人間の改良に
よって完全に絶たれた昆虫なのです。

 そう聞くと私自身、何だか切なくて、余計愛おしく感じるのかもしれません。

 養蚕農家も昔に比べ、ずいぶんと減ったようですが蚕の繭が再認識しはじめている兆しもあるので
(繭がお肌に良い、とか)もっと沢山の人にこういう献身的な昆虫がいる、ということを知ってもら
えたらと思って記事にしてみました。

 さて、あまりにも遅くなってしまった「夏休み課題」ですが、今日あたり全ての観察が終わって
リポートが完成しそうです。
 
 そして。
 表題の「モヌラ」ですが、なぜにモヌラ???
 と思われた方も多いと思います。
 でも、知ってる方もいるよね…( ̄ー ̄)ニヤリ

 私の大好きなゲームで「牧場物語」というものがあります。
 これは自分が牧場主となって牛を飼ったり馬を飼ったり、鶏を育てたりしていくゲームなのですが、
この飼える生き物の種類の中に「モヌラ」という蚕をモチーフにした可愛い生き物があるのです。
 蚕というよりはもう少し大きな抱き枕(笑)みたいなユニーク且つマンガチックな生き物ですが、
育てるうち、繭が取れるので「蚕」なんだな、と分かります(笑)。
 モヌラ、っていう名前、可愛いですよね。
 表題を考えた時、「蚕」ってのもうーむ…という感じだったんでこの可愛い「モヌラ」にしました。

farm.jpg
【動物一覧の「モヌラ」です(笑)可愛いんですよ♡】
※画像はマーベラスさんwebより。http://www.bokumono.com/series/wakuwaku/
 
 モヌラたちの命もあと僅かです。
 ♀は卵を産み始めました。
 最後まで温かく見届け、そして今回は卵の冬越しにも挑戦してみたいと思います。
 またいつかモヌラリポート、書くかもしれません。

 
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コメント 4

jwmn

蚕???
蚕って害虫だと思ってた((((;゚Д゚)))))))
何かこのレポ読んでると私も飼いたくなったw
繭吐いてるとこ見てみたいなぁ!!!
繭って柔らかいの??固いの??
繭蛾って言うのになるんだね!!
私も蛾苦手だなぁ…
あの羽についてる粉!!気持ち悪い…
繭蛾見たことない!!
そんなに可愛いの??
見てみたいなぁ。

チョット気になったんだけど、幼虫って噛むの???w
このあいだ、運動会の練習の時尺取虫が必死に友だちの腕登ってて…
きゃあああああああ!!!って振り払ってた…
最近毛虫多くてこわいわぁ。
芋虫苦手だ…うにゅうにゅしてる…。

冬越しがんばって!!!
by jwmn (2011-09-16 18:17) 

earlgrey

蚕=カイコだよ。
害虫ってwwをいをい。もしかして蚤と間違えたんでわ?
可愛いのよ〜。カイコさん。
あたしもモニモニ系(いわゆるイモムシ系)はすっごい
苦手ですわよ?超がつくほどの(笑)。でもなぜかカイコ
さんはめっちゃ可愛い♡

 繭はそれなりにしっかりできているから固い、方かな。
 「カイコガ」という蛾になるんだよ。
 カイコ蛾は他の蛾と違って「粉」もまったくないし、
第一、羽はあるけど退化しているから飛べないの。
 
 幼虫も、記事にも書いたが噛まないよ。
 そういう意味では人間にすごくフレンドリーな虫だね。
 
 尺取り虫が噛むか噛まんかは分からんが、そういう一般的
な昆虫とは一線を画していると思うよ。
 あたしも毛虫とか大嫌いだもん。
 一度機会があったらぜひ育ててみると感動するかも…。

 卵の冬越し、どうなるかねぇ。素人だけど頑張るよ。

by earlgrey (2011-09-16 19:13) 

マチャ

祖父は長野県の農業試験場で養蚕の研究をしていました。
今は養蚕農家も減って、産業としては衰退しましたね。
伝統工芸としては残っていますが・・・
お蚕さんの成長、本当に感動的ですよね。
by マチャ (2011-09-20 06:54) 

earlgrey

★マチャさん
 ご来訪とそしてコメントをありがとうございます。
 御祖父様が養蚕の研究をされていたのですか…!
 一時期大変盛んだった養蚕も代替品の普及、ということで
衰退の一途となってしまった、と聞きました。
 確かに養蚕はその労力が大変に大きく今では割が合わない
のかもしれませんが…。
 お蚕さんはとても健気で優しくて、命の大切さをいつも教え
てくれるような気がします。
by earlgrey (2011-09-20 12:39) 

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