オッサン、一年ぶりの母校へ。

　オッサンが小学校を卒業してから一年の歳月が過ぎた。
　長かったような短かったような一年。


　担任だった先生がこの時期、異動になってしまったりするともう会えなくなってしまうのではないかと思って「オッサン、一度先生に会いに行ってみたら？」と声をかけると照れたような困ったような様子をしていたオッサンだったが、「行ってみますか」ということで結構な雨の降る中、プッコさんも一緒に3人で出かけた。

　久しぶりの川崎。
　以前使っていた駅に着くと何とも懐かしい。
　そんなに何年も経った訳ではないのに、人間ってすぐに「懐かしく」なってしまうんだなぁ、と不思議な気がした。

　見慣れた街並をバスの車窓から眺めながら小学校に到着。



　やっぱりここも懐かしい。
　オッサンもプッコさんも「うぉぉぉぉっ！」とか喜んでいる。
　
　昨今、小学校はどこも門扉がオートロックになっているので、ピンポンしないと中へ入れないと嫌だなぁと心配していたが、ラッキーなことに門が開いていた。ホッとした。だって、外でピンポン押して目当ての先生がいません、などとインターホンで言われてしまうのも嫌だなあと思ってね。

　運良く学校に忍び込むとすぐに目に飛び込んでくるのが、鶏舎。
　オッサンは自分が飼育委員会で烏骨鶏の世話をしていたが、その時と変わらず烏骨鶏が鶏舎にいたのでこれまた大喜び。
　「俺さぁ、飼育委員会の時、ボス（烏骨鶏の中に体の大きなヤツがいてそのあだなが「ボス」なのだそうだ）に顔を突かれたんだよね、相当むかつくよね（笑）」とか回想を巡らせていた。



　3人で恐る恐る校内に入りスリッパをお借りして2Fの職員室を見に行くと、中には用務員さん以外誰もいなかった。
　「すいませーん、○○先生いらっしゃいますかぁ？」（私）
　「ええっと…お約束か何か？」（用務員さん）
　「いいえ、そうではないのです。去年の卒業生でたまたま近くに来たから（モロ嘘）先生のお顔を見に寄らせていただいたのですが…」（私）
　「あぁ！そういうことですね〜。今、職員会議中なんですけどせっかくですから呼んできますね」（用務員さん）
　
　ということで職員会議の最中、先生はニヤニヤしながら（笑）こっちへやってきた。
　しばらくぶりの先生。全然変わってない。いつものジャージにいつものベットリ頭（すいません）。
　
　「いやぁ、よく来てくれました。一年ぶりですねぇ」（先生）
　「はい、その節は本当にお世話になりありがとうございました」
　（オッサンの方を向いて）「背が大きくなったね」（先生）
　「学校は楽しいですか？」（先生）
　「あ、はい。楽しいッス」（オッサン）
　「アハハハ、すっかり受け答えも中学生っぽくなっちゃって」（先生）
　「卒業生の皆さんは他の方も遊びに見えるんですか？」（私）
　「うん、結構来てますね。昨日は僕が留守してたんだけど、その時も数名来たみたいです」（先生）
　
　あ〜よかった！一日早かったら先生に会えなかったんだ。

　オッサンは終始緊張気味でほとんど喋らず…orz
　何のためにやってきたんじゃーっ。
　もっとしゃべらんかいっ！

　職員会議の途中だし、先生も結構な照れ屋なので、話ができたのもほんの5分ぐらいだったけど、まだ先生は異動の予定がないことも確認できたし、今度はまたオッサンにそのつもりがあれば一人で先生を訪ねられるなぁと思いつつ、先生に深々と頭を下げて職員室を後にした。
　
　職員室を出ようとしたその時、
　「今、背は何センチ？」（先生）
　「あ、166センチッす」（オッサン）
　「ああ、僕の中学の頃と一緒だ−。それから伸び悩んじゃってねぇ」（先生）
　あ、あのぉ、不吉なこと言わんといて下さい、先生（汗）。
　※因みに先生の背は多分170センチちょっとぐらい。

　冷たい雨の降る中、ビショビショになりながら訪ねたオッサンの母校。
　オッサンにしてみれば思ったことの10分の1も話せなかったろうが、それでもやっぱり懐かしそうな眼差しで先生や校舎を見つめていた。どんなことを思ったのだろう…。
　
　暗黒時代を経て、先生の熱血のおかげをもってもう一度立ち上がれたオッサン。
　その先生と一年ぶりに会えて本当に良かったね。
　次に会う時はもっと成長したオッサンを見てもらえるといいね。