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口唇口蓋裂。 [口唇口蓋裂のこと。]

 今日の読売新聞22面、くらし欄に「口唇口蓋裂 診療科が連携」という記
事が掲載されていた。
 母がその記事を見つけて私に教えてくれたのだった。

 記事は昭和大学病院の診療方針や治療の流れ等、簡潔にまとめられてあり、
なかなか素晴らしいな、と感じた。
 こうした大きな新聞が「口唇口蓋裂」を取り上げてくれることに心から感
謝しなければならない。記事そのものの内容については我が子も辿ってきた
道筋であり、それほど目新しいことは見つからなかったが、大手の新聞社が
こうした疾患を取り上げてくれた、ということが何より嬉しい。

 今、どのぐらいの人が「口唇口蓋裂」を知っているだろう?
 少なくとも私の周りではその認知度は30%程度、といったところか。

 私は大体、PTAなどの参加の折、積極的に自分から京佑の疾患についての
話をすることが多い。まずは大人の側に知ってもらいたいからだ。
 しかしながら、「うちは長男が口唇口蓋裂で」と話すと概ね「え、それは
どういうものなの?」という感じ。「いわゆるみつくちで」というと話は早
いのだが、私はどうにもこの「みつくち」って響きが好きではない。それで
も、結局のところ簡便な説明に困りあぐねて「昔はみつくちって言ったでしょ
う」と言うと「ああ!みつくちね!」と殆ど全ての人が把握するというわけ
だ。

 なぜ「みつくち」という響きが嫌いなのかはわからない。けれど、私の中
のどこかで、どうも「みつくち」という語句に対してその疾患に対する「侮
辱」であったり「差別」であったりするような歓迎しづらい臭いを感じてし
まうのかもしれない、と思う。

 「みつくち」ではなく、「口唇口蓋裂」として世の中の人の多くに正しい
知識を持ってもらいたい。

 そうした意味合いからも、今回の記事はとても意義のあることのように思
える。正式名すらあまり知られていない疾患である割に、一番目につく顔に
その痕跡が現れてしまうため、「差別」や「いじめ」につながりやすいこの
口唇口蓋裂。私はそうした状況を我が息子からも否応なく感ぜざるを得ない
ことも踏まえて、これほど「悲しくて辛い疾患」はないのでは、と思ってし
まう(誤解を恐れずに言うならば、である)。

 しかしながら、京佑は今日も元気である。
 あいつはあいつなりに「生きる術」を模索し、構築してきた。彼はいつの
間にかとても強くなった。中学に入ってからも傷のことについてはきっと何
度も言われたことだろう。それらしきことは本人も言っていた。
 「でも、俺そういうときさ、『まあ、それは別にいいんだよ』とはぐらか
しちゃうんだよ。一度言って分からないヤツにはね」と事も無げに私に笑い
かけた。彼なりに「一度は説明するけれど、それでダメならそれとなく、の
らりくらりかわす」という手法を使って中学校生活をうまく泳いでいるらし
い。

 一つ一つ真に受けて気にしていたら精神が持たない。だから余計な荷物は
持たない。自然体で行く。これが彼のポリシーだ。
 
 今日の新聞を手に取った一人でも多くの人に正しい知識として「口唇口蓋
裂」を知ってもらえたら、と心からそう願う。
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